上京するときの宿は、そのときの会議や用事がどこなのかによって決めているのですが、最近は子どもたちの下宿を中心に考えて、交通の便の良いところになっています。その結果、飯田橋が便利なことに気付いて、その辺のホテルに泊っています。
飯田橋には大学もあり、多くのビジネスも集中していますし、神楽坂も近く夜のエンターテインメントも充実しています。羽田空港や東京駅からも近いですし、かつてこの辺に住んでいたこともあり、いつも快適な滞在になっています。
お昼の時間は、近くのオフィスから結構若い男女が繰り出してくる感じで、随分混むのですが、ちょっと時間をずらして空いたころに食べることにしています。夜も同じです。
どこが美味しいのかは、昼食時の行列を見ることで分りますが、それほど行列はなかった店であるにもかかわらず、素晴らしいところがありました。「越後料理 一真」です。
新潟に行ったときに、名物として振る舞われたものの中に「へぎそば」がありましたが、東京でも食べられるのを発見して、久し振りに店に入ってみました。
まず「へぎそば」とはどんなそばなのかという、ウィキペディアの説明です。
「「へぎ(片木)」と呼ばれる、剥ぎ板で作った四角い器に載せて供されることからこの名が付いた。冷やしたそば3 - 4人前を、一口程度に小分けし、丸めて盛りつける様子から「手振りそば」とも呼ぶ。器の「へぎ」は、「剥ぎ」を語源とする。」
写真で見て貰った方が分り易いと思います。店の表の看板です。
何度も行きましたし、その度にメンバーがちょっとずつ違っていましたので、注文したものは多種に上るのですが、やはり、へぎそば中心の一品で満足度が高かったのが、「天付へぎそばセット」です。
これは若い人たちに人気がありました。私のお気に入りは、どこに行っても注文する傾向のある「かき揚げ」が入っている、「桜海老かき揚げ天せいろ」です。
一真のかき揚げで感激したのは、これが3次元的かき揚げだったからです。
最初にテーブルに運ばれて来た時には、「タワーかき揚げだ!」と声を上げてしまいました。美味しい蕎麦と揚げ物であることはもう、書く必要がないと思いますが、その上、この店で感激したのは、雰囲気とサービスです。お客さんを大切にしていることが良く分る接客なのです。
日本の食文化の典型的存在の一つである蕎麦屋の雰囲気を表すのに英語を使うこともないのですが、この店で頭に浮んだのは「civility」という言葉です。礼儀正しい、そして丁重なという意味ですが、その類語の「civilized」(上品な)という感じもありました。加えて、「粋」と言ったら良いような昔の名残までそこはかとなく漂っていて、空いた時間に一人でゆっくりするのには最適です。
例えば、相席を依頼するときの言葉と所作から感じたのは、押し付けがましくなく、こちらが断っても構わないのですよ、というようなニュアンスが伝わってきました。越後ではワサビが採れなかったので、蕎麦はからしで食べていたので、良かったら試してみて下さいというお勧めも上から目線ではなく、へぎそばを楽しんでほ欲しいという気持がしっかり伝わって来ていました。
店員のお兄さんたちだけでなくお姉さんたち、とくに女将さんだと思われるちょっと年配の女性の気配りもさりげない温かさが感じられました。
ことによるとこうした気遣いは越後特有のものかもしれませんが、古き良き時代の東京を思いだす一時にもなりました。
[2019/5/6 イライザ]
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