――私の参加した分科会です――
私が参加した二つ目の分科会は、「朝鮮半島の新たな平和パラダイムの形成と市民社会の役割」をテーマにしたもので、司会は韓国国家統一研究所 (Korea Institute for
National Unification) の上級研究員のチョー・ハンブン博士で、パネリスト・ディスカッサントは私を含めて6人でした。与えられた時間は1時間30分でしたので、一人当り約15分の発言時間でした。
時間は短かったのですが、ほとんどの発言者は南北の統一に関連する研究や行政に携わって来た専門家たちですので、大変深い知識を持ち、また短時間でそのエッセンスをまとめて発言してくれましたので、とても勉強になりました。
左の演壇にいるのが司会者のチョー・ハンブン博士
それぞれのプレゼンテーションには、ストーリーがあり、この問題について一人一人が持っている情熱も伝わって来たのですが、その全てを記録するだけの力がありませんでした。ここでは、特に記憶に残った点を、「bullet point」形式でまとめておきたいと思います。
l 今回の朝鮮半島を巡る大きな変化は、長い間の積み重ねの結果だ。特に北の内部でも大きな変革が起き、非核化への方向性は出ていたことを確認しておきたい。
l 「ロウソク革命」の意味は、代議制民主主義の欠陥を直接民主主義によって克服したということだ。今後の南北運営の基本軸もこの方向に変ることが必要だ。
l そのためには、地方政府同士の交流・協力が大切になってくる。
l そのような市民社会の役割を制度化する常設的なコミュニケーション装置を作る必要がある。そのことで、紛争を避け対話で問題解決ができるようにして行くようにしたい。
l 北が望んでいることは、平和と繁栄であり、一言で言えば「良い暮らし」だ。そのためには北との経済協力をどうするのかを考えなくてはならないが、それは非核化と一緒に動かなくてはならない。
l そのプロセスで、政府が全てを仕切ることはできなくなり、政府の役割が狭くなる新たなパラダイムが現れる。そのシンボルとして、南北が高速鉄道で結ばれるといったイメージが分り易いかも知れない。
l そのためには周辺諸国の理解が必要だし、それに北が乗って行けるかも課題だ。南北とも「good governance」が基本だが、その推進体制はこれからだ。そのためにも、市民社会のネットワークが重要になる。
l 北の態勢では今起きているのは上からの変化で、意識や動機の面での下からの変化が待たれる。しかし、そうなると社会の両極化が起きる恐れもある。それは、韓国に取っては心配だが、北でも必ず市民社会ができるだろう。
l 長期的にはそれを誕生させ育てることが大切になる。
l 統計と国連という視点から南北の未来を考えることも重要だ。例えば、北は、2013年から2015年までの国連のミレニアム事業目標を達成できなかった唯一の存在だ。
l 食糧不足は深刻で45パーセントが貧困に喘いでいる。5歳未満の子どもたちを見ると、北では25パーセントが低体重なのに対して、南では10パーセントが肥満児だ。
l 北の夢は貧困からの脱出だが、その先の課題として、南北共通の夢を持つことが未来のためには必要だ。
l また、制裁とは別建てで、国連事務総長の方針としての国連からの援助という形で北への援助をすることが大切になってくる。そのために新しい作戦、新しい構想を創り出して行きたい。
l Steel Rainという映画の中で、明日は核ミサイルが発射されることを知りながら平気でコーヒーを飲んでいるシーンが出て来る。それは、恐怖の日常化が進んでいることの象徴なのだが、そんな状態を変えてきたのは市民運動の努力だ。
l その市民社会の役割として、ケソンの中断が二度と起こらないような結果を残すことが必要だ。
l チェジュが果しているような市民の力を元にして国への影響力を持つことがそれにつながるはずだ。
l 市民社会の目標を、最近良く使われている言葉をもじって表現すると、CVID (complete, verifiable
and irreversible disarmament--完全、検証可能、非可逆的な非核化) の代りにCVIPになる。つまり、complete, verifiable,
irreversible Peace、完全、検証可能、非可逆的な平和だ。
最後の、CVIDは、米朝トップ会談が失敗だと論じる日本のマスコミと「専門家」が好んで使った概念です。その代りにCVIPを目指すという考え方は、ネガティブな評価をする代りに、それを未来志向の積極的なアジェンダに置き換え、なおかつ、その中で、CVIDも実現していこうとする意欲的・積極的かつ当事者意識をしっかり持った表現で、今回のJeju Forumの意味を一言で言い表してくれているように思いました。
私の発言ですが、このブログをお読み下さっている方々には耳にタコができている可能性もあります。とは言え、次回、御披露したいと思います。
大変盛り上がった分科会の後、皆で記念写真を撮りました。
[2018/7/5 イライザ]
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