ここ数か月、憲法をあたかも数学書として読む試みを続けてきましたが、その結果が7月頃法政大学出版局から刊行される予定です。
その中で取り上げているトピックの一つが死刑制度なのですが、「数学書として読む」立場からは、憲法が死刑を禁止している、という結論になります。詳細は、7月に出版される小著をお読み頂きたいと思いますが、それまでの間、死刑制度についての背景など考えてみたいと思います。
憲法に明確な規定、例えば「死刑は禁止する」とか「死刑は刑罰として認める」といった明示的な条文があれば、それに従うことになるのですが、そのような明示的な条文はありません。そして、こと死刑のような重大な案件については世論も重要です。そこで我が国の死刑についての世論を見てみましょう。簡単に分るように、グラフで示します。
これは国が行った世論調査の結果です。青が賛成、赤が反対です。賛成が増え、反対が少なくなっている傾向が分ります。
賛成と反対の理由ですが、「廃止派」と「存置派」の考え方を簡潔に整理したものが法務省のホームページに掲載されています。(「死刑制度のあり方についての勉強会」のとりまとめ報告について)
死刑制度の存廃に関する主な論拠
1 死刑廃止の立場
① 死刑は,野蛮であり残酷であるから廃止すべきである。
② 死刑の廃止は国際的潮流であるので,我が国においても死刑を廃止すべきである。
③ 死刑は,憲法第36条が絶対的に禁止する「残虐な刑罰」に該当する
④ 死刑は,一度執行すると取り返しがつかないから,裁判に誤判の可能性がある以上,死刑は廃止すべきである。
⑤ 死刑に犯罪を抑止する効果があるか否かは疑わしい。
⑥ 犯人には被害者・遺族に被害弁償をさせ,生涯,罪を償わせるべきである
⑦ どんな凶悪な犯罪者であっても更生の可能性はある
2 死刑存置の立場
① 人を殺した者は,自らの生命をもって罪を償うべきである。
② 一定の極悪非道な犯人に対しては死刑を科すべきであるとするのが,国民の一般的な法的確信である。
④ 誤判が許されないことは,死刑以外の刑罰についても同様である
⑤ 死刑制度の威嚇力は犯罪抑止に必要である。
⑥ 被害者・遺族の心情からすれば死刑制度は必要である。
⑦ 凶悪な犯罪者による再犯を防止するために死刑が必要である。
次回は国際的な比較をしてみたいと思います。世界の多数の国々では、死刑は廃止されているのです。
[2019/5/16 イライザ]
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