何故カレー屋さんを国外追放するのか?
――経営管理ビザの厳格化は「実態調査」を根拠にすべし――

日本人でも3,000万円は難しい
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昨年10月の法改正によって「経営管理ビザ」と呼ばれるビザが厳格化されました。目的はペーパーカンパニーの防止と実質的な事業運営だそうです。
特に目立つことが三つあります。一つは、資本金が3,000万円以上になったことと。二つ目は、1名以上の雇用が必須になったこと。三つめは、このどちらかの要件を満たせば良かったのに、改正後は両方を満たさなくてはならなくなったこと。そして四つ目は、この表には出ていませんが、自宅と事業所を別にしなくてはならない点です。変更の主な点を比較した表をGoogleが作ってくれましたので、以下に貼り付けます。
《経営管理ビザの厳格化》
この厳格化によって例えばマスコミの調査によると、昨年10月以降は申請件数が96%も減ったということが報じられています。月1700件の申請が70件に減ったのだそうです。読売新聞の記事を参照して下さい。この記事の論調は厳格化を、評価する方向のように読めました。
《厳格化が招いた問題》
同時にHUFFPOSTの記事では、例えばカレー屋さんが取材に応じて大変困っていることを訴えていました。記事の中でも取り上げているように大きな問題があると言わざるを得ないのではないかと思います。
最大の問題点は資本金3,000万円という点です。外国人ではなくても、老後を普通に暮らすためには、一人当たり2,000万円の貯蓄が必要だとの「試算」が広く流布されたことがありました。
しかもそれは普通の日本人にとってもなかなか難しいということが指摘されていたのは、皆さんも覚えていらっしゃるのではないでしょうか。
そして改正前は許されていた自宅と事務所の兼用、ここではカレー屋さんの店舗と住まいということにすると、例えば一階がカレー屋さんで二階は住まい、というような場合を考えてみますが、そのような形で仕事を続けることが許されなくなっています。また、家族で店を切り回しているような場合でも雇用を一人以上という要件を満たせるのかどうかは微妙なことになってきています。
真面目にお店を経営してきたカレー屋さん、多くのお客さんに愛されてきたカレー屋さんが突然国外に退去しなくてはいけなくなるという事態を招いてしまったのは何故なのでしょうか?あまりにも理不尽だと考えるのは私だけではないでしょう。
《厳格化をする前に実態調査を》
ここで私は「厳格化」を取り入れる前提として基本的な提案をしておきます。実態調査です。ビザの申請時と、その後の一年間の間に抜き打ち検査をすることも必要かもしれません。
まず、厳格化が必要なのかどうかは私の今ある知識では分りません。仮に必要だという仮定で話を進めますが、その前に指摘しておきたいのは、実態調査をしたという報道が全くないことです。ペーパーカンパニーなど、制度の網を掻い潜ってビザを取得するようなケースを減らす必要があるのかないのかも実態を調査しなくては分らないのでしないでしょうか。
仮に厳格化する必要があるとして、ビザの不正利用を防ぐ上で、ただ単に資本金と雇用条件を厳格化すればよいという理屈はどこから出てくるのでしょうか。本当に、外国人が日本でカレー店を出してはいけないという理由がありそれが正当化されるのであれば、「一律禁止」をすれば済む話です。
そうではなく、一定数のカレー屋さんを認めるのであれば、問題はどこに境界線を引くのかということになります。となると、3,000万円という額が適正かどうかが問われます。どのような根拠でこの数字が適正であるのかを示さなくては説得力がありません。
真面目に仕事をしている人たち、日本社会に溶け込んでいる人たちのケースをきちんと調べた上で、その人たちが今の仕事を続けられるような判断を可能にする実態調査をした上で資本金額を設定することぐらいはできたし、これからもできるのではないでしょうか?
もう一つはビザを発給する際の調査です。ある報道によると、出入国在留管理庁が全ての申請を調査するのは不可能だと言っているようですが、資本金3,000万円を課する前に、申請の費用の一環として、例えば調査費を10,000円上乗せすることで、費用を賄うことはできないのでしょうか?調査費として10,000円では足りないのなら、20,000円でも良いかもしれません。3,000万円に比べれば小額ですし、それで実態が調査できる訳ですから、不正をしようとしている人たちを把握することは可能です。
調査時だけその場を取り繕う可能性もあるかもしれませんが、その後の一年の間に抜き打ちで実態調査を行うことも可能ですし、必要であればそのための費用もビザ発給の条件として上乗せしても良いかもしれません。
《正直者が損をしない制度を》
とにかく真面目に仕事をしている外国人の人権、そして生活そのものを脅かす「厳格化」を、実態調査もしないで、簡単に導入するという感覚そのものが「アウト」です。まともな生活をしている外国人が、これほど簡単に絶望してしまう制度を、導入するのは我が国の伝統や価値観そのものに対する挑戦です。最低限、まず実態調査を行い、事実に基づいた法律を制定するという法治国家としての大原則に立ち戻らなくてはなりません。
そのために必要なもう一つの措置は、例えばカレー屋さんのこれまでの実績を生かすことです。仮に10年間地域に親しまれ愛されたカレー屋さんがいたとして、その10年間の実績を、次の何年かかのビザ発給の際に認めることです。
悪いことをする人間の行動原理だけを対象にした制度を作るのではなく、社会的貢献をしてきた人たちの実績がカウントされるような制度を作るのも、未来を明るくする上で必要なのではないでしょうか。正直者が損をする社会を作りたいのなら話は別ですが。
皆様にとって今日一日が、良き日になることをお祈り致します。
[2026/5/16 人間イライザ]
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