感動的だったアフリカ諸国の演説
――大国が足を引っ張っています――

核エネルギーアフリカ委員会のムボイヨ代表
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ニューヨークでの国連核不拡散条約(NPT)再検討会議から帰国してもう10日が経っています。あっという間に過ぎてしまいましたが、再検討会議での感動は消えません。それをお伝えします。
再検討会議の一般演説の最後の日、4月30日にようやく時間が取れて、約2時間傍聴した報告をしておきます。一言でまとめると、これもあっという間に過ぎた2時間だったのですが、それはその間の各国の演説があまりにも感動的だったからです。
一般演説最後の19カ国・組織の演説だったのですが、私が聞いたのは、キリバスに始まって最後が国際赤十字社でした。その間ほとんどがアフリカからの国だったのですが、それをまとめる形での演説となったアフリカン・コミッション・オン・ニュークリア・エナジー、訳すと核エネルギーアフリカ委員会ですが、そのスピーチの概要をまずお伝えしておきます。
《NPTの三本柱》
この時間帯に発言したアフリカの国々は、どの国も基本的なことから始めていたことが強く印象に残っています。それはNPTの三本柱を確認することです。三本柱とは
- 核兵器の不拡散
- 核兵器国による核軍縮
- 核の平和利用の促進です。
このうち1つ目と3つ目は、イスラエルとアメリカが仕掛けたイラン戦争解決に直接関連しています。
つまりどの国も各核平和利用を保障され、それについての支援を受けられるというのがNPTの趣旨なのです。特にアフリカ諸国はエネルギー源として原子力を使う方向を強く打ち出していますし、この核エネルギーアフリカ委員会も、アフリカを非核地帯とするペリンダバ条約の遵守と平和利用のために作られた委員会ですから、この点を強調しています。
そして最初の柱は、しかしながら、原子力の平和利用で生まれる核物質を高濃度に濃縮して、それを核兵器に使ってはいけないということです。
そしてもう一つの矛盾は、第二番目、核保有国は核軍縮を行うという義務が課せられているのですが、どの核保有国もそれを守ってはいないことです。それどころか、イランを攻撃したのは核不拡散条約に加盟していないイスラエルも一緒なわけですから、その矛盾に対して各国が疑問を呈することも当然です。核廃絶について足を引っ張っているのが核大国なのです。
そこで各国ともただ単に核拡散条約だけではなくて、核兵器禁止条約も批准せよと要求することになります。
《ベリンダバ条約》
さらにアフリカ諸国が強調したのは、世界に先駆けてアフリカ大陸は既に非核地帯になっていることです。南アフリカのペリンダバで締結されたために、ペリンダバ条約と呼ばれている非核地帯条約によって、アフリカ大陸全域で核兵器の存在は禁止されているのです。1996年に署名が開始され、2009年に発効しています。
ここで重要なのは、この条約には議定書が付いていることです。それはNPTで認められている核保有五か国が、アフリカ大陸に対して核兵器を使用しないという約束をする、条約の付属条項です。
現在まで、アメリカを除く4カ国がこの議定書を批准しています。あとアメリカが批准すれば、核保有国全てがアフリカに対しての核使用はできなくなります。それは、南アメリカの非核地帯条約であるラロトンガ条約ではすでに実現していることです。核保有国は南アメリカとカリブ海諸国を核兵器で攻撃することはできません。
《核の先制不使用》
これは一般的にはネガティブ・シキュリティー・アシュアランスと呼ばれているのですが、簡単に言ってしまうと、核保有国がこの地域に限って核の先制不使用を宣言したということなのです。英語で言うと「No First Use」(ノー・ファースト・ユース)です。
今私たちが世界的に展開している運動では、核保有国が核を廃絶するための中間的なステップとして、核の先制不使用を宣言することを目的にしています。
今回の核拡散条約再検討会議では、最終文章が採択されるかどうか、今回も大きな課題になっているのですが、その第ゼロ草稿案では、その第60項目目に核保有国全てが核の先制不使用を宣言するという項目が入っています。
この項目が入ったまま、最終文書が採択されれば、人類にとって大きな前進になります。それが実現できるかどうか分かりませんけれども、今回のアフリカ各国の発言に見られるように、そして最終文書のたたき台にも核の先制不使用が入るなど、今世界の各地で核の先制不使用を実現しようという声が上がっていることも事実です。
それを現実ものにするには、私たち一人一人の声をもうちょっと大きくすること、て周りの人たちに一人でも良いから広げること、最終的には世界の多数派世論にして行くという地道な努力が必要です。
内容はそれほど違ってはいなかったのですが、ほぼ二時間、アフリカの国々の代表の熱い演説に感動しました。核廃絶についての先進国としての誇り、核大国の横暴についての抗議、そして自分たちの声で未来を拓くという決意に裏打ちされた演説から、NPTには存在意義があると改めて感じることになりました。演説には力があるのです。
皆様にとって今日一日が、良き日になることをお祈り致します。
[2026/5/10 人間イライザ]
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