ヒロシマの心を世界に [春宵十話]

核のない平和な未来を創るために

チャールズ国王の演説 ――混迷する世界に一陣のそよ風――

チャールズ国王の演説

――混迷する世界に一陣のそよ風――

成熟した君主になりました

White House, Public domain, via Wikimedia Commons

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/ac/King_Charles_III_%28July_2023%29.jpg?utm_source=commons.wikimedia.org&utm_campaign=index&utm_content=original

広島ブログ

ブログ激励のため、上のバナーをクリックして下さい

 

メローニ首相に続いて、今回はイギリスのチャールズ国王です。

悲しいニュースや理不尽な出来事、そして指導力のないリーダーたちを見ることで、フラストを感じたり、腹が立ったりの毎日ですが、久しぶりにスカッとするニュースに出会いました。混迷する世界に吹いた一陣のそよ風です。

それはアメリカ訪問中のイギリスのチャールズ国王が議会とホワイトハウスで行ったスピーチです。トランプ大統領のイギリスに対する暴言は、他の国へのものと同レベル、あるいはそれ以上の酷いものもあったのですが、同じレベルに落ちるのではなく、文化の違い、志の高さを言葉の端々に滲ませながら、しかもトランプ大統領の言い分を見事に反駁している出来栄えでした。

詳細に一つ一つコメントするのではなく、ユーモアの効いた箇所を抜き出して、礼を失した言動や品性のなさ、暴力的手法にどう対応すべきかなのかのお手本を浚っておきましょう。

チャールズ国王のホワイトハウスでのスピーチの最初の方に出てきたのは、ホワイトハウスの改修です。以下、スピーチの内容はYouTubeを聞いたときの印象元に復元しているだけですので、正確さには欠けるかもしれません。リンクを貼っておきますので、そちらも御覧下さい。

《ホワイトハウスの改修》

ここでは、「リアジャストメント」と言っていますけれども、再調整とでも訳せますが、ホワイトハウスの改修を指しています。「私たちイギリスも、1814年にはこの不動産の再調整についての小さなを試みをしてています」と言っています。

これは1812年に始まった米英戦争中、イギリス軍がワシントンを陥れ、ホワイトハウスに火を付けたという歴史的事実に言及しています。

その後、外国の軍隊がアメリカ本土まで侵攻したケースは日米戦争まではありませんでした。この戦争では、アメリカがイギリスに勝っただけでなく、両国ともアメリカの原住民をこの戦争で虐殺し、アメリカ全土を事実上植民地化したことと等の問題があるのでが、とにかくアメリカにとっては非常に重要な戦争でした。

スピーチの中で、アメリカの歴史を辿ることもしているのですが、アメリカ各地にイギリスの歴代国王や女王の名前の残っていることにも触れ筒というストーリーの展開でした。メリーとかアン、ジョージ、チャールズ、そして最後にはさらっとウィリアムの名前も挙げていました。

《フランス語を喋っていたかもしれない》

もともとアメリカ大陸で覇を競ったのは、イギリスとフランスでしたから、当然フランスの影響も残っています。そのことに言及しながら、トランプ大統領がヨーロッパ諸国に対して、つい先日恩着せがましく語った言葉「アメリカがいなければ、今頃ヨーロッパはドイツ語を喋っていただろう」を引いた後で、「イギリスがいなければ、アメリカは今頃フランス語を喋っていたかもしれない」と述べて、トランプ大統領へのしっぺ返しをしています。

個人と個人の関係もそうですし、国と国との関係もそうなのですが、これほど長い歴史を刻んでくれば、全て良き時代ばかりではありません。お互いに協力し合いながら上手く行っていた時代もあるし戦争の時代もありといった歴史の重みを謙虚に受け止める姿勢を強調するユーモアでしょう。その謙虚さに反映されている、時代の流れを客観視しながら、これからの協力関係を作って行きたいという前向きのそして対等な関係を前提にしている言葉はやはり重要だと思いました。

《裸の関係》

英米関係の歴史の中でも、非常に難しい時代であった第二次世界大戦時のエピソードとして、1941年12月にギリスのチャーチル首相がホワイトハウスに滞在したときの逸話も紹介しています。チャーチル首相がシャワー後、まだ裸のままでいた時、ルーズベルト大統領が部屋に入ってきたのです。その時にチャーチルがルーズベルトに行った言葉が、「イギリスの首相はアメリカの大統領に隠すものは何もない」でした。

そして母親のエリザベス女王がアメリカの大統領13人と会見をしたことも回顧して両国の良好な関係を振り返りました。そしてその締めは、チャーチルの逸話に触れ、その13人とはちゃんと着物を着て会ったことを、ユーモアとして付け加えています。

《ボストン・ティー・パーティー》

そして最後に素晴らしい晩餐会だったとお礼の言葉を述べたのですが、「ボストン・ティー・パーティーに比べると格段の改善です」と結びました。

もちろんアメリカ独立のきっかけになったボストンにおけるイギリスのお茶を海に捨てた大事件、それは普通ボストン茶会事件と訳されていますが、パーティーといっても、これはたくさん人が集まってお茶を飲んで楽しむ意味でのパーティーでありません。当時は一つのまとまりではありませんでしたが、沢山の人が一緒に党派的活動をしたくらいの意味です。チャールズ国王は、その歴史的故事に掛けて感謝の言葉を述べています。

《shoulder to shoulder

もう一つ大切なのは、言うべきこともきちんと述べていることです。議会での演説では、第二次世界大戦、冷戦、アフガン戦争等の厳しい歴史をアメリカとNATOそしてイギリスが共に、「shoulder to shoulder」、つまり最前線で肩を並べて戦ってきたことを回顧しています。アメリカのため世界のために共に戦ったイギリス市民の勇気と栄誉を、世界に向って代弁したのです。今後もそれらの時と同じようにウクライナを助け、世界の平和を創る必要があるとも述べています。

ここで私が強調したいのは、軍事同盟そのものが重要であるとか、平和を守るためには軍備増強が必要だとかということではありません。仮にそのような関係のある国々がその関係を維持するとしたらどのような形が良いのか、そして理想的とは言えないこれまでの人類の歴史の中で、輝かしい未来を創るために、歴史からどのような教訓を汲み取るべきなのかといったことなのです。

国王として様々な試練を越えてきたチャールズ三世ですが、今もガンと闘っています。その彼がいま世界に発信しているメッセージからは一人の成熟した人間としての、そして君主にはかくあるべしという一つのお手本にもなりそうです。

そして最後に、日本も文化的には世界の国の中でも誇れるものがあるはずなのですが、対アメリカへの対応でその文化の力が生かされているとは思えないのが本当に残念です。

 

様にとって今日一日が、良き日になることをお祈り致します。

[2026/5/9   人間イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ