原爆投下に対するアメリカへの抗議文
――1945年8月10日にスイス政府を通じて――

日本史の大事な場面でスイスが登場しますね
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《日本政府が原爆投下を国際法違反と断じたのはこれが最後》
一昨日は、若い人たちが海外で平和についての発言、特に核兵器の廃絶に関連する発言をするときに覚えておくと役立つ論文を紹介しました。[リンクは右クリックの後、左クリックで開いて下さい。]
暗記しておくと役立つという共通点がありますので、今日は日本政府のアメリカ政府に対する抗議文を紹介します。
このブログでも何度も取り上げていますが、日本政府は戦後一貫して広島、長崎への原爆投下は国際法違反ではないと言い張ってきました。それだけではなく、核兵器そのものについても国際法違反ではないという論陣を張ってきました。
一方では、唯一の「戦争被爆国」だと標榜し、岸田文雄議員は総理大臣当時「被爆地広島出身の総理大臣」を強調することで、それが、あたかも被爆地広島の考えであるかのような印象操作をしてきていました。
そんな日本政府に対しての反論の仕方はいくつもあります。その中で一番説得力のあるのは、日本政府そのものが1945年8月10日、スイス政府を通してアメリカ政府に送った原子爆弾10日に対する抗議文かもしれません。
その後、「虎に翼」でも取り上げられたような姿勢に豹変してしまうのですが、同じ日本政府が昭和20年8月の時点できちんとした形で、アメリカ政府に抗議をしている事実を覆すことはできません。しかもその根拠も論理も、そして主張の仕方も当を得たもので、今日本政府がこれを主張しても時代遅れではありません。文章としても名文の中に入ると思いますので、若い人たちにはできればこれを暗記して欲しいと思っています。
《抗議文》
米機の新型爆弾攻撃に対する日本政府の抗議文(1945年8月10日)
米機の新型爆弾攻撃に対する日本政府の抗議文
1945(昭和20)年8月10日
本月六日米国航空機は広島市の市街地区に対し新型爆弾を投下し瞬時にして多数の市民を殺傷し、同市の大半を潰滅せしめたり。
広島市は何ら特殊の軍事的防備乃至施設を施し居らざる普通の一地方都市にして、同市全体として一つの軍事目標たるの性質を有するものに非ず。
本件爆撃に関する声明において米国大統領「トルーマン」はわれら船渠工場および交通施設を破壊すべしと言ひをるも、本件爆撃は落下傘を付して投下せられ空中において炸裂し極めて広き範囲に破壊的効力を及ぼすものなるを以って、これによる攻撃の効果を右の如き特定目標に限定することは技術的に全然不可能なこと明瞭にして、右の如き本件爆撃の性能については米国側においてもすでに承知してをるところなり。
また実際の被害状況に徴するも被害地域は広範囲にわたり、右地域内にあるものは交戦者、非交戦者の別なく、また男女老幼を問はず、すべて爆風および輻射熱により無差別に殺傷せられその被害範囲の一般的にして、かつ甚大なるのみならず、個々の傷害状況よりみるも未だ見ざる惨虐なるものと言うべきなり。
抑々交戦者は害敵手段の選択につき無制限の権利を有するものに非ざること、及び不必要の苦痛を与うべき兵器・投射物其の他の物質を使用すべからざることは戦時国際法の根本原則にして、それぞれ陸戦の法規慣例に関する条約付属書、陸戦の法規慣例に関する規則第二十二条、及び第二十三条(ホ)号に明定せらるるところなり。
米国政府は今次世界の戦乱勃発以来再三にわたり毒ガス乃至その他の非人道的戦争方法の使用は文明社会の与論により不法とせられをれりとし、相手国側において、まづこれを使用せざる限り、これを使用することなかるべき旨声明したるが、米国が今回使用したる本件爆弾は、その性能の無差別かつ惨虐性において、従来かゝる性能を有するが故に使用を禁止せられをる毒ガスその他の兵器を遥かに凌駕しをれり。
米国は国際法及ぴ人道の根本原則を無視して、すでに広範囲にわたり帝国の諸都市に対して無差別爆撃を実施し来り、多数の老幼婦女子を殺傷し、神社仏閣学校病院一般民家などを倒壊または焼失せしめたり。
而して今や新奇にして、かつ従来のいかなる兵器、投射物にも比し得ざる無差別性惨虐性を有する本件爆弾を使用せるは人類文化に対する新たなる罪状なり。
帝国政府は自らの名において、かつまた全人類および文明の名において、米国政府を糾弾すると共に、即時かかる非人道的兵器の使用を放棄すべきことを厳重に要求す。
[ 出典は、宇吹暁先生の作られた「ヒロシマ遺文」というサイトです。]
中国新聞の籔井和夫編集委員も2007年8月7日に、同趣旨の説得力ある記事を書かれています。
今日一日が皆様にとってよき日でありますよう、お祈り致します。
[2026/4/12 人間イライザ]
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