「水平拡散」は核使用につながる
――他人事では済まされない――

カナダは頑張っている
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《カナダからの発信》
今月末からニューヨークで開かれるNPTの再検討会議に関連して、来日中のカナダの平和活動家からの新情報をお届けします。
実は、6日、ズームでFirdaus Kharasという、カナダのフィルムメーカー、平和活動家、カナダ勲章の受章者と話をしました。広島の訪問予定もあるのですが、私の日程と合わず、ズームでのやり取りになりました。
彼は、カナダの核廃絶運動の中心的な団体であるCLND(Canadian Leadership for Nuclear Disarmament、「核軍縮のためのカナダ知識人の会」と仮訳しておきます)の運営委員の一人でもあります。
このCLNDが、3月17日にカナダ政府に対して、「NPTを救え」という趣旨の手紙を出しているそうなのです。その要点と背景をまとめると次のようなことになります。
トランプ政権に振り回されている世界が、もうアメリカを信頼できないというメンタリティーになって来ている。その結果、自国を守るためには核武装が必要だと再考する国々が増加している。IAEAの事務局長、グロッシ氏によると、今その動きを止めないと、核保有国は18から20カ国くらいになってしまう可能性がある。そうなると、核兵器が実際に使われる可能性は飛躍的に大きくなる。それらの国々の中には、ウクライナ、ポーランド、ドイツやフィンランで、バルト三国、サウジアラビア、韓国等も入るだろうとのことです。
御参考までに、グロッシ氏のビデオ・インタビューの動画と、CLNDの手紙を末尾に添付しておきます。
「不拡散」という視点から、このように地理的に核保有国が広がることは「水平拡散」と呼ばれるのですが、それは核不拡散条約の目的に真正面から反する傾向です。ダボス会議でのカーニー首相の演説が世界の基調となったように、こうしたアメリカや大国の横暴の結果を見据えて、それでも秩序ある世界を作って行く役割を担うのが、Middle Powers (中堅国家)と呼ばれる国々なのですが、それらの国々は核拡散に対する方策を考えるための協議体を作っています。日本もその中に入っています。そのリーダーとしてカナダが動くべきだというのがCLNDの手紙の趣旨です。(これらの国のリストはCLNDの手紙の最後に添付されています。)
《日本はどうする》
「水平拡散」に対してもカナダが重要な役割を果す可能性が大きいのですが、このような動きは残念ながら日本国内ではほとんど注目されていないように見えます。カナダから世界がどう見えているのか、その中で日本の果す役割はどのようなものなのかについて知ることで、日本政府も動かして行きましょう。そのためには、世論喚起が必要です。
日本の役割を考えるに当って、仮に日本が核保有あるいは核共有のような意向を示せば、それは世界各国に、唯一の被爆国である日本が核保有するのだから他国が保有しても問題はない、というお墨付きを与えることになるのは想像して頂けると思います。しかし、逆の方がもっと厄介かもしれません。日本の世論が国外からの動きに敏感であることは御存知の通りですが、仮に何カ国かがそんな動きを示せば、それを口実に「日本も核を」という声を挙げる人たちが増えることは火を見るより明らかでしょう。これは危険です。
日本政府が「唯一の戦争被爆国」を標榜していても、何もする気のないことはこれまでの数々の事例で明らかですが、それでも私たちが「責任を果せ」と要求し続けなくては政府は変りません。そのためには私たちが声を挙げ続けなくてはなりません。当然、ソーシャル・メディア、SNSを使うことも考える必要があります。幸いなことにKharas氏はその分野の専門家でもあります。私も、2045年までの核廃絶運動(何度もこのブログで取り上げています)を、そのような手段も使って盛り上げて行こうと考えていたところですので、偶然ではなく、天の配剤なのではないかと感じています。
以下、CLNDからカナダ政府への手紙
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2026年3月17日
カナダは核不拡散条約の救済を主導すべきだ
激動の時代を生きていると言うのは控えめな表現だろう。カナダ首相は、これまでの国際秩序が「崩壊」したと宣言し、中堅国は自国の安全と福祉を確保するために新たな集団的努力をしなければならないと述べた。
近年、国際法秩序の中で、多国間核不拡散・軍備管理・軍縮体制ほど、攻撃や完全な無視に苦しめられてきた要素はほとんどない。1970年の核不拡散条約(NPT)は、191の締約国を擁するこの体制の具現化である。NPTは、条約下の5つの核兵器保有国(ロシア、中国、米国、英国、フランス)が核軍縮を約束し、その他の非核兵器保有国は核兵器の取得を放棄し、原子力の平和利用を支持するという三者間の合意を定めた。
核不拡散条約(NPT)は発足以来、国際社会に大きく貢献してきた。1995年の条約無期限延長に対する全会一致の支持がそれを物語っている。しかし近年、条約の履行における不備が、列強間の信頼の基盤を蝕んできた。核兵器保有国は、核兵器を削減するどころか、大規模な近代化計画を通じて核兵器を増強してきた。ロシアと米国は、最後の核兵器制限協定を代替協定なしに失効させてしまった。核保有国4カ国(インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮)は、依然として条約の適用を受けていない。核保有国の無責任な行動によって核拡散のリスクが高まり、一部の非核保有国が核不使用の立場を公然と見直す事態にまで至っている。
地政学的緊張の高まりを背景に、核不拡散条約(NPT)締約国間の協力は損なわれてきた。過去2回のNPT運用検討会議(2015年と2022年)は成果文書の作成に失敗した。今春、ニューヨークの国連本部で開催される次回の会議も同様の事態に陥る恐れがある。核ガバナンスの中核をなすこの条約は、いわば「三振アウト」の危機に直面しており、その権威にとって致命的な影響を及ぼす可能性がある。条約を救済し、この悲惨な事態を回避するためには、早急な救済策が必要である。
幸いなことに、核不拡散条約(NPT)加盟国の中には、条約の存続可能性に対する脅威の高まりを認識し、条約強化に向けた取り組みを進めている中堅国がいくつか存在する。これらの非核兵器国22カ国は、14カ国からなるストックホルム核軍縮イニシアチブと、12カ国からなる不拡散・軍縮イニシアチブ*という2つのグループに分かれている。カナダ、日本、ドイツ、オランダは、これら両グループに加盟している。ストックホルム・イニシアチブとNPDIに加盟する国々が協調行動をとれば、今後の再検討会議に大きな影響を与える可能性があるが、そのためには、これらの取り組みを調整するリーダーが必要となるだろう。
我々はカナダ政府に対し、ストックホルム・イニシアチブおよびNPDI(核兵器開発イニシアチブ)に関わる22カ国をカナダ国内でできるだけ早く招集し、核兵器再編会議とその後の行動について協議・調整することで、リーダーシップを発揮するよう求める。カーニー首相が述べたように、核兵器拡散という暗雲を払拭するためには、中堅国が率先して、核覇権国が示せなかったリーダーシップと良識を示す必要がある。
ストックホルム・イニシアティブの加盟国:アルゼンチン、カナダ、エチオピア、フィンランド、ドイツ、日本、ヨルダン、カザフスタン、オランダ、ノルウェー、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス
NPDI加盟国:オーストラリア、カナダ、チリ、ドイツ、日本、メキシコ、オランダ、ナイジェリア、フィリピン、ポーランド、トルコ、アラブ首長国連邦。
カナダ勲章の以下の受章者によって承認されています
PAR LES PERSONNES SUIVANTES、TITULAIRES DE L'ORDRE DU CANADA を承認する
キャロリン・アッカー、CM
マレー・アンガス、CM
ロイド・アクスワーシー博士閣下(枢密顧問官、CC)
ジェリー・バー、CM
アラン・ゴードン・ベル、CM
ポール・ボーン、CM
ニーナ・L・チャペル博士(CM)
スティーブン・チャットマン、CM
ジャン・クリスティロー博士、CM
ジョン・J・クラック、OC
ロジャー・クラーク、CM
エドワード・H・コール博士(CM)
レイモンド・J・コール博士(CM)
リビー・デイビス、CM
ミシェル・W・ドラポー、CM
ジェイアン・イングリッシュ博士(CM)
- パターソン・ファーンズ、CM
シェリル・フォーチャック博士(OC)
アイリーン・フレイザー、CM
エリック・フリーゼン、CM
ジェームズ・C・ハサウェイ博士、CM
R・ブライアン・ヘインズ博士(OC)
ナンシー・ハーミストン、OC
マイケル・D・ヒル博士(OC)
ジョン・ホブデイ、CM
ダニエル・イッシュ、OC
ピーター・G・マーティン博士(OC)
エリザベス・メイ、OC、MP
リン・マッキンタイア博士(CM)
マリルー・マクフェドラン閣下、CM、上院議員
ジョナサン・ミーキンズ博士(OC)
ジョン・マイトン、OC
- ジョック・マレー、OC
ナンシー・ハーミストン、OC
キム・ペイト閣下、CM、上院議員
デビッド・ペリー、CM
アラン・ロック閣下(枢密顧問官、CM)
アン・サドルマイヤー、OC
デビッド・シャイフェレ医師(OC)
バリー・スミット博士(CM)
ジェラード・スノー、CM
サリー・ソーン、CM
ジェーン・アークハート、OC
デビッド・ウォルトナー=トウズ博士(OC)
ゲイリー・ワーナー博士(CM)
フレデリック・ウィーン博士(CM)
デビッド・P・ウィルキンソン博士(CM)
デラ・ウィルキンソン博士(CM)
カナダ核軍縮リーダーシップ運営委員会の以下のメンバーによって承認されています。
カナダ核軍縮指導委員会の次期委員の承認
ベブ・トレフソン・デロング
セサル・ハラミージョ
フィルダウス・カラース、OC
ポール・マイヤー元大使
アレックス・ネーブ、OC
アーニー・レゲール、OC
ダグラス・ロッシュ閣下、OC
ジェニファー・アレン・サイモンズ博士(CM)
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今日一日が皆様にとってよき日でありますよう、お祈り致します。
[2026/4/8 人間イライザ]
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