ヒロシマの心を世界に [春宵十話]

核のない平和な未来を創るために

事実は人の心を変えない ――では、何を頼りに真実を伝えれば良いのか?――

事実は人の心を変えない

――では、何を頼りに真実を伝えれば良いのか?――

進化論からの教訓もあります

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《「ワクチンは死の原因だ」》

昨日に続いて、スティーブン・ブリルの『真実の死』が取り上げているもう一つの事例です。

「人の将に死せんとするや、其の言や善し」は、漢文で習った論語の中の言葉ですが、人が死に直面するとき、真実を見る目が生じ、その言葉は真実である、いう意味のことです。死に直面することで、私たちの心の中にある様々な夾雑物が取り除かれて真実が見えてくると解釈することも可能です。

しかし、ブリル氏が報告しているのは、死に直面しても、自分の頑固な考え方を変えない人が現実に存在するという厳粛な事実です。

それはある医師の経験なのですが、彼の患者二人がコロナで亡くなったそうなのです。その二人とも、コロナワクチンを打つことは拒否をしていました。その結果亡くなるのですが、死の床にあっても、1人の患者は、コロナワクチンが死をもたらすと信じてワクチンを打たなかった人でした。もう一人は、コロナは作り事だと信じていて、自分が罹っているのはインフルエンザか肺炎かだと信じていたのだそうです。

信頼しているはずの主治医が説得をしても、それを否定してしまう患者がいるとは何とも信じられない話なのですが、これに関連してもう1冊の本の著者の経験もショッキングでした。

《「ワクチンが自閉症を起した」》

日本語訳では「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」というタイトルの本を書いたタリー・シャロットさんの経験です。

2016年の大統領選挙の前にあった共和党予備選挙でのディベートの経験です。小児神経外科の医師ベン・カーソンと、ドナルド・トランプの二人が候補者として討論会で対立をしていました。

たまたまトピックが自閉症に及んだのですが、トランプ候補は当然ワクチン接種が自閉症を起すと主張していました。

カーソン候補は医師ですから、当然多くの論文を読んで、医学的・科学的にはワクチン接種が自閉症を起こす事はないと主張しましたし、トランプ大統領も知的能力は高い人なので、公刊されている論文等を見ればお分かり頂けるはずだとも言っていました。

それに対してトランプが持ち出したのは次のようなイメージでした。2週間前の出来事だという振れ込みでした。美しく可愛い子どもが医者に連れられて行った。そこで、馬に打つような大きな注射器で、ワクチンを接種された。そして2週間後には高熱が出て、その結果として今は自閉症になっている。これが現実だという主張です。

《「事実では人を説得できない」》

それを聞いていたシャロットさんは、心理学と神経科学の専門家であるのと、同時に当時2歳半と生まれて7週間の2人の子どもの母親だったのですが、トランプが描いたイメージに大きな影響を受けたと述べています。

科学的にはワクチン接種が自閉症を起こすことはないと知ってはいたものの、もし自分の子どもが病気になったらと考え、またワクチン接種のをする注射器の大きさも普通のものである事は分っていても、馬に打つ注射器という大きさのイメージと、その結果起こる子どもへの影響に頭が支配されてしまった、そしてトランプの結論に引きずられたという経験をしたと告白しています。

頭の中の知的な部分では、カーソン候補の言い分を理解していても、その他の全てはトランプ候補のイメージに影響されてしまった、とこの時の経験をまとめています。

つまり科学的あるいは医学的な事実を人に示すことで、その人の信じていることや、感情によって支配されている思い、あるいは信念と言っても良いのかもしれませんが、それをを変えさせる結果にはならないのです。

ではどうすればいいのか、シャロットさんはこの本の中で説明をしています。進化論も役に立つようです。その内容はこれから数回、簡単にまとめますが、それとは別に私たちは例えば教育者として、あるいは政治活動をする上で、人を説得するために、その他日常的に人間関係を良くするために、様々な努力をしてきています。

その結果、ほとんどの人が、他人を説得することの難しさは御存じのはずですし、同時にどのような説得方法がより効果的であるかについての経験則もお持ちだと思います。それを全て捨てて、新たな学習をしなくてはならないのでしょうか。ちょっと心配ですが、「魔法の杖」を貰える可能性もあります。シャロットさんの「説得」を聞いてみましょう。

 

今年一年が皆様にとって良い年になりますよう、お祈り申し上げます。

[2026/1/8    人間イライザ]

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