ヒロシマの心を世界に [春宵十話]

核のない平和な未来を創るために

「戦争」とは違法のものだけを指す? ――憲法9条は二段階で禁止――

「戦争」とは違法のものだけを指す?

――憲法9条は二段階で禁止――

私たちが反対している戦争のイメージ

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『日刊スポーツ』11月13日配信のディジタル版です。「羽鳥慎一モーニングショー」でのコメンテーター玉川徹さんが高市総理の「「存立危機事態」発言について、とても大切なことを述べています。ネットからの引用です。

玉川氏は「大前提として日本は中国と戦争してはいけないっていう風に私は思ってるんですね。それはもちろん憲法上の理由もありますけれども、やっぱり戦争が始まってしまったら、それはもう絶対に不幸に陥るわけです。国はね。国民は。だから、やってはいけないんですね」と切り出した。

この点については、このブログでも取り上げています

それに対しての松田東大教授のコメントです。これも『日刊スポーツ』からの引用です。少し長いですが--。

  リモート出演の東大東洋文化研究所教授の松田康博氏が反応。「集団的自衛権に関
  しては、これは国家の固有の権利として、国連加盟国は基本的に全部これを享受し
  ているというのが大前提としてあると思います。戦争という言葉をお使いになりま
  したけど、戦争というのは、国際法違反なんですね。国際法で認められている武力
  行使というのは自衛権の行使と、あとは国連が認める集団的安全保障、国連が使っ
  ていいよという場合の行使だけであって。集団的自衛権の行使というのは、国際法
  においてはですね、それを認められている武力行使であって。戦争に参戦するとい
  うことではないと」と指摘した。

  その上で「これはご存じでそういう風におっしゃっているのか。ちょっと分かりや
  すい言葉を使っておっしゃってるのか分からないんですが。厳密には大きく分けら
  れるべきであって。まぁそういう議論をすべきだなという風に思います」と続け
  た。

  さらに「非常に密接な関係のある国が実際に攻撃を受けてるということですから、
  これは別に日本が始めるというわけではないわけですよね。自衛権というのは、自
  分の国あるいは自分に非常に密接な関係のある国、また地域がですね。攻撃を受け
  た時に、それが自国の安全にとって、極めて、重要である。そういう場合にです
  ね。ともに戦うことになります」と補足した。

松田教授の主張を論理的に整理すると次のようなことになります。

武力行使」には二種類ある。国際法違反のものと、国際法的に認められているもの、つまり合法であるもの。

結論として、松田教授が言いたいことは次のようなことなのでしょう。高市総理の述べた「存立危機事態」は、国際法で認められている集団的自衛権の行使であって合法。玉川さんの反対する「戦争」には当らないので、玉川発言は意味がない。

この松田発言の問題点の一つは、専門家が自分たちだけに通じる述語を作って、仲間内で議論をするのは自由ですが、それを非専門家の使う言葉にまで押し付けてはいけない、ということです。

私たちが「戦争」というとき、これは合法であれ非合法であれ、市民が巻き込まれ生命財産を失い悲惨な思いをした上に、政府からは、犠牲は甘んじて受けろ、という結果になる事態を指しています。日本が仕掛け、また多くの悲惨な経験をもたらした1930年代1940年代に戦争における記憶が元になっています。そんな戦争をしてはいけない、特に中国としてはいけない、という主張は圧倒的に多数の日本人の思いを表しています。

次に、国際法が合法だと言っているから我が国もその行為をして当然だという考え方は憲法違反です。憲法9条をもう一度読んで下さい。

  第9条日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動
  たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段として
  は、永久にこれを放棄する。

武力行使」は憲法違反なのです。これほどはっきりとした文言があるのですから、行使はできません。相手から攻撃されたとしても、「国際紛争を解決する手段として」の武力行使はしないと明言しているのですから、我が国の外交方針は、あくまでこのような事態が起きないように徹底するべきなのです。

さらなる一点として、私たちが忘れ掛かっている大切な原則があります。特に、AIの使用が広まるに連れて、その傾向が顕著になっているのですが、何かができるからと言って、ただちに実行することが正しいのか、という判断をすべしというものです。正しいかどうかを判断するというステップが必要なのです。そして多くの場合、私たち人間にとって大切なのはこの判断です。

憲法9条で大切なのは、第2項があることで、この判断が既に明文化されていることです。「武力」を持っていれば、それは既に「行使できる」状態です。となると、その行使をすることが正しいかどうかを、その度に判断しなくてはならないことになります。第2項では、次のように述べて、二段構えで武力行使を禁止しています。

  2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の
  交戦権は、これを認めない。

ネット上のセキュリティーの観点から二段階認証が行われているのと同じ理由で、憲法では、二段階プロセスを採用して武力行使を禁止しているのです。にもかかわらず、「できることはすべきことだ」という主張にすり替える議論に対して、私たち主権者が、先ず騙されないこと、そして集権者の特権として、「憲法遵守」を権力者に徹底しなくてはなりません。

 

皆様にとって、きょう一日が素晴らしい24時間になりますよう!

[2025/11/12   人間イライザ]

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