残しておきたかったスピーチ (1)
――歴史学者マーティン・シャーウィン教授の広島修道大学での講演――

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通訳・同時通訳時代の記録に戻りますが、プロとして通訳をしているのですから、毎回100点の仕事をするのが理想です。とは言え人間がすることですから、やはり波があります。その中で何度かは、自分の尺度でなのですが、「完璧」にできたと思えることがありました。
その一つは、アメリカのタフツ大学での同僚だったマーティン・シャーウィン(Martin Sherwin)教授を広島修道大学にお招きして講演して頂いたときのことです。彼は歴史学者として、特に原爆の開発とその投下決定についての専門家です。
これを機会に彼の著書をお読み下さい。(『破滅への道程――原爆と第二次世界大戦』、加藤幹雄訳、TBSブリタニカ, 1978、そして『オッペンハイマー』、河邉俊彦訳、PHP研究所刊、2007)
1987年だったと思いますが、当時私が客員教授として奉職していた広島修道大学にシャーウィン教授を招いて講演をして貰いました。彼の専門についての約一時間半の話でしたが、広島での講演ということで、シャーウィン氏も力を入れていました。学生たちからもとても分り易かったし多くのことを学べたという称賛の声が多かった講演です。
シャーウィン氏とはタフツ時代もとても親しくしていましたし、広島が共通の関心事ということもあって、彼の著書それから日常的な会話を通して、お互いの考え方を良く理解し合ってていました。
通訳は逐次通訳でしたけれども、途中から彼と私が一体になったような気持になって、彼の熱い英語を私も同じくらい熱くなって日本語に訳しました。終った後で達成感がありました。本当に力を出し尽した通訳だったことを実感しました。
講演直後には、当時修道大学での同僚だったマイケル・リトルモア(Michael Littlemore)教授が演壇に駆け寄ってきました。彼は当時、皇太子殿下の英語の先生だったのですが、シャーウィン教授の講演の内容を絶賛してくれました。シャーウィン教授が喜んだことは勿論です。
続いて私に「君の通訳も素晴らしかった。文章のコンマの一つ一つ、そしてピリオドの一つ一つまで訳し尽くしてくれた」とコメントしてくれました。力の入った講演を全力で通訳した結果をこのように評価して貰って「通訳冥利に尽きる」思いをすることができました。
この講演は誰かが録音してくれていたはずなのですが、残念ながら今となってはどこに残っているのか分りません。
皆様にとって、きょう一日が素晴らしい24時間になりますよう!
[2025/9/23 人間イライザ]
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