ヒロシマの心を世界に [春宵十話]

核のない平和な未来を創るために

通訳は、「伝えるため」のチーム ――競争相手ではありません――

通訳は、「伝えるため」のチーム

――競争相手ではありません――

國弘正雄氏も仲間の一人です

広島ブログ

ブログ激励のために、上のバナーをクリックして下さい

 

このブログでは、社会や政治、歴史党の問題、言葉についてあるいは日常の身辺雑事等について記してきましたが、ときには昔のエピソードも御披露してきました。

今回は若い時の仕事の一つ、同時通訳として働いていた時代のエピソードです。

1970年代だったと思いますが、ワシントンでかなり大きな国際会議がありました。日本の経済界の主だった人たちも出席していた国際会議でした。その基調講演は、当時の未来学者として、名を馳せていたハーマン・カーンだったような気がします。そうではなく、彼とともに有名だった人だったような気もするのですが、肯定するにも否定するにも名前が出てきません。ともかく超知名度のある人でした。仮にHさんと呼んでおきましょう。

仲間の通訳の間で、誰のスピーチは誰が担当するのかを決めたのですが、そのHさんの担当は私ともう一人ということになりました。ハーマン・カーンそしてHさんの本はかなり読んでいましたので、内容については問題なかったのですが、講演をする人について知ることも大切です。同時通訳に協力的な人とそうではない人がいることも事実でした。

公演当日、たまたま会場のホテルのロビーの入り口を見ると、そのHさんがが到着したばかりでした。早速彼に近づいて自己紹介をし、私があなたの講演の同時通訳をしますと伝えました。

「まぁよろしくね」とか、何かそれほどの意味のある内容ではない返事が返ってくると思っていたのですが、彼の口から出てきたのは「そうか。どっちが早く喋れるか競争だ」でした。

呆れてしまってなんと答えたのか覚えていませんが、ことによるとこれはジョークだったのかもしれません。でも、実際に彼の講演はほんとうに早口でした。ジョークではなかったのでしょう。

そして英語を日本語に翻訳して喋ると同じことを言っても、日本語の方が時間が掛かるのです。これ一例でその証明にはなりませんが、感覚的にお伝えすると、英語では「アイラブユー」で済むところを、日本語では「私はあなたを愛します」になるのです。そのくらいの長さの違いがあることは、経験的には私たちは良く知っています。

ですから、早く喋られると、日本語でも当然早く喋らなくてはならなくなりますし、全体の量は多いのですから、聞く側から見ると、良くて聞き辛い、悪いと何も分らないことになってしまいます。

Hさんの話の筋は良く分りましたので、結局ある程度、端折りながら要約しながら聞き手にわかるように訳した積りですが、やはり大変緊張しました。

途中でもう一人の担当者に交代しましたが、通訳を競争相手と見るのではなくて、自分の言いたいことを、聞いている人に正確に伝えるための共同作業者だと考えて、二人この目標をいかに達成するのかという視点で通訳を使う方が理に適っています。

もちろんHさんはは事前に原稿を書いてそれを通訳に渡してくれてはいませんでした。この時の教訓として、私がスピーチをするとき、通訳がいる場合には、事前に日本語と英語と両方の原稿を準備して渡すように心掛けています。

最後に付け足しておきますが、「同時通訳の神様」と言われた國弘正雄さんを思い出しています。彼が強調した「只管打坐」について、このブログで取り上げましたので、そちらも御覧下さい。

 

皆様にとって、きょう一日が素晴らしい24時間になりますよう!

[2025/9/20     人間イライザ]

[お願い]

文章の下の《広島ブログ》というバナーを一日一度クリックして下さい。

広島ブログ