「人口密集地における爆発性兵器」(EWIPA)の規制
赤十字国際委員会のEWIPAについてのページ
(https://www.icrc.org/en/explosive-weapons-populated-areas)
8月4日にアムネスティー・インターナショナル(AIと略)が公表した、ウクライナについての報告が世界的な議論に巻き込まれています。それについてAIが7日に「遺憾の意」を表した文書も公表されています。
翻訳の都合でしょうか、日本では8月10日に日本語版が公表されたようですが、ウクライナ側の国際法違反を取り上げています。Abema Times TVによると、「ロシアを利する」「タイミングが良くない」という批判があり、ゼンレンスキー大統領は「テロ国家に恩赦を与えている」とまで言っているそうです。
この「国際法違反」に関連して、国連や赤十字国際委員会 (ICRC)、また人権について真摯に取り組んできた国々、中でもアイルランドが中心になって、6月17日に画期的な政治的合意が行われています。
それは、「人口密集地における爆発性兵器」(EWIPA)の規制についての政府間合意です。これまで3年にわたっての議論と最後の取りまとめに至る交渉のプロセスは、アイルランド政府のホームページで読むことができます。また、ICRCのホームページにも分り易い説明があります。
「爆発兵器」とは、爆薬を使って人や物を殺傷する兵器ですが、通常「兵器」と呼ばれているものの総称だと考えてもそれほど大きなずれはありません。それを人口の密集した地域で使うことを規制しようという政治宣言がまとめられたのです。
法律的には、戦争において民間人を保護しなくてはならないとジュネーブ諸条約や追加議定書で定められていますが、特に、都市のように人口が密な地域での爆発兵器による被害が大きいことから、その使用を禁止することを明示的な条約にすることを目的としながら政治的にまず規制をしようという趣旨の宣言です。
家屋、病院、学校、ショッピングセンターなど民用施設を爆発兵器で攻撃することは、もちろん国際法違反です。そして、これらの施設を軍事拠点として使うことや、民用施設の近くに軍事拠点を設けることも、民間人を攻撃にさらすことになり国際法違反です。
ただし、その解釈については幅があることも事実です。例えば、Collateral damage (巻き添え被害) が存在することは事実ですが、そうではない場合でも、「CDだ」という言い訳が使われることは良く知られています。
今回まとめられた、「人口密集地における爆発性兵器」(EWIPA)の規制に関する政治宣言では、爆発性兵器を人口密集地で使うことを禁止している現行の国際法を守らせること、あるいは禁止されない使い方の場合にも国際人道法が守られるような措置を取ること、またそれに関連した情報の収集や共有、戦闘員の教育等々の広い範囲での爆発性兵器の規制を政治的なレベルで厳密化しようとするものです。
都市に住む人々の生命を守ろうとする国際的な協力体制があっての成果なのですが、AIも積極的な役割を果しています。そこに「平和首長会議」の姿が見えないことには残念以上の気持を抱かざるを得ませんでした。
AIの報告は、こうした国際的な努力に呼応したものである点も重要です。改めて、戦争であっても全ての行為が許されるわけではなく、これまで人類が長い時間を掛けて積み重ねてきた国際法を遵守することは、戦争に従事しているどちらの側にとっても義務であることは確認しておくべきなのではないかと考えます。
豪雨の被害はまだ続いています。被災者の皆さんに心からお見舞い申し上げます。さらに、コロナについてもまだ油断はできません。皆様、くれぐれも御自愛下さい。
それでは今日一日が、皆さんにとって素晴らしい日でありますよう。
[2022/8/18 イライザ]
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