ヒロシマの心を世界に [春宵十話]

核のない平和な未来を創るために

ゼレンスキー大統領の国会演説 ――被爆の実相を知らしめることが重要――

ゼレンスキー大統領の国会演説

――被爆の実相を知らしめることが重要――

 

3月23日、午後6時から、国会議員に向けてウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで演説を行いました。

 他国向けの演説と比べてトーンを落として、やや抽象的な印象でした。それは、日本国憲法9条によって、日本という国が戦争に関わることができないという事実を尊重したからなのだろうというのが私の感想です。

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しかし、ウクライナの状況の酷さを訴えるために、他国への演説と同じように、これまで日本が経験してきた悲劇や被った犠牲への言及はありました。一番、長く取り上げたのは原発破壊による放射線被害でした。これは福島第二原発事故の被害に重ねることで、私たちにウクライナを身近に感じて貰いたいという意図が伝わってきました。

 また、ロシアの侵略を「ツナミ」と表現し、化学兵器の使用の可能性については「サリン」によって、私たちにより強くその危険性を訴えてもいました。

ちょっと引っかかったのは、「さらに核兵器が使われた場合の世界の反応が話題になっています」とは言ったものの、「広島・長崎」という固有名詞は出てこなかったことです。アメリカ向けの演説での「パール・ハーバー」とは対照的でした。

ここ数日、アメリカにおける「パール・ハーバー」の意味を解説してきました。それは多くのアメリカ人が長い間、「パール・ハーバー」が原爆投下を正当化していると信じてきたことです。この点を敷衍すると、「パール・ハーバー」と同じ被害を受けていると言うのであれば、その結果として自分たちが核兵器を使う権利があると主張するに等しいことになります。

 これは、現在進行中の武力紛争の当事者としては仕方のないことなのかもしれませんが、「力に対抗するには力に頼るしかない」という戦争肯定の枠組みの中での言葉です。行き着く先は核兵器の使用であり、人類の滅亡です。

そして、ゼレンスキー大統領がその矛盾に気付いているかどうかは分りませんが、同時に大切な発言をしています。それは、現在の国際機関が侵略を予防するという機能を果していないという点であり、その新しい機能が果せるような国際的なツールを作る上で、日本の果たせる役割に期待しているという言葉です。

 これも日本の平和憲法を踏まえての発言であると解釈したいのですが、そうであれば、核兵器の使用はそれが誰によって行われても許されないという結論しかありません。核兵器だけではなく、戦争否定を強く推し進める国際的な仕組みを作らなくてはなりません。そのためには、戦争の被害を、身を持って体験してきた世界の都市の連帯が有効です。都市が軍隊を持たないこともそのために役立ちます。

 歴史的にどの都市も大きな戦争被害を受けてきています。自らの被害を世界に伝え、戦争否定という共通項で未来を考える時が来ているのではないでしょうか。

 私たちが世界に伝えられること、人類の滅亡を防ぐために役立つことの一つは、やはり被爆の実相を真に迫る形で伝えることなのではないでしょうか。頭でだけではなく、全身でそのことを理解して貰うためです。

 そのためにこそ圧倒的多数の世界市民、つまり私たちがそのことを言い続け、広島出身の岸田総理に、被爆者の代弁者としての役割を果して貰うことが重要です。

 [2022/3/24 イライザ]

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