キャノン・ハーシー展示会「未来樹」
――彼のプロジェクトが始まりました――
一月に二度にわたってお伝えした、キャノン・ハーシー氏のプロジェクトが始まりました。第一弾は彼と、藤元明氏による展示会「未来樹:Resilience」です。場所はコマチ・アート・プレースでした。
その展示会で私にとって一番印象深かったのが、キャノン氏による二枚のシルクスクリーンでした。
私には、川のように見えたのですが、真ん中の少し黒みがかっているのは、被爆樹の映像です。冬に写した写真を元にしているので、葉っぱがほとんどついていません。それが、川を中心にした広島の地図のように見えたのですが、キャノン氏がここに切り取った形の持つ意味が、その二重性にあるような気がしてきました。
樹も川も水の通路という性格を持っています。そして1945年8月6日には、その川は、水を求める人たちに一時の安らぎを与えました。その後私たちはその川に灯篭を浮かべ、水を求めて亡くなられた人を初め多くの被爆者の霊を慰めるのと同時に、川を見つめ、川の畔に佇みながら、核のない世界を創る決意を新たにしてきました。
被爆樹は、原爆にも負けずにそこに立ち続け、木陰に涼を取る私たちを慰め、大きく茂る枝と葉を見上げる私たちに新たなエネルギーを与え続けてくれました。また、地中から吸い上げた水を糧に種を生み、その種が広がることで、過去を未来につなげています。
三次元的存在である樹木を地面に射影した結果が地図のように見えるのは、両者に共通している「水」そして水の創る生命の力の投影であるように私には感じられました。
科学や数学においては、このような「多義性」のある解釈は許されません。それはそれで大切なのですが、被爆体験を元にした未来へのメッセージをもっと多くの人に伝える上で、芸術の持つ多義性も大きな力を発揮するだろうことを確信できる一時になりました。
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