東京での発見
――「横丁」を曲ると「つぶし餡」の「到来物」がある――
最近、上京することが多い家人なのですが、子どもたちの下宿の掃除などもこなしながら、いろいろ楽しい時間を過しているようです。楽しみの一つは、広島や関西とは違う言葉や仕種を発見することらしく、それを聞くことで、東京生れの私にとっては別の意味で勉強になっています。発見するのは、主に高齢の女性の言葉が多いというのも面白いのですが、最初に御紹介したいのは、飯田橋のあるお店の店番をしていたおばあさんの言葉です。
道順を聞かれたらしいのですが、その答えが、「その先の横丁を曲るとすぐだよ」だったのだそうです。なめくじ横丁とか法善寺横丁、それから加藤周一作詞・中田喜直作曲の「さくら横ちょう」といった「横丁」は知っていても、歩いている道を曲って小さな路地に入る、という行動としての「横丁」、「横丁を曲る」とが結び付いていなかったようです。
これが関東と西日本との違いなのか、家人だけの感覚なのかは分りませんが、興味深い指摘でした。
横道に逸れて、私の注釈を点けさせて頂きたいのですが、「横丁」は「横町」とも書きます。元々は「横町」だったようなのですが、「町」の略字「丁」の方が簡単なので多用されてきたのかもしれません。ちなみに、藤島恒夫さんが歌ってヒットした『月の法善寺横町』は、「町」が正しい曲名です。また、加藤周一さんの詩『さくら横ちょう』について、加藤さんは著書『羊の歌』の中で、「横町」と書いています。
二番目は「つぶし餡」です。新宿の近くのお店でこれもおばあさんが「うちのはつぶし餡だから美味しいよ」と言っているのを聞いて、「粒あん」は知っているけれど「つぶし餡」て「粒あん」のこと(?)、と疑問を持ったようです。これも地域的な差ではなく、粒の状態が残っているのが粒あんで、皮は残っていても小豆が潰れている物をつぶし餡と呼ぶだけなのかもしれませんが、家人にとっては新鮮な響きだったようです。
そして「到来物」。お中元で頂いたお菓子をお茶請けとしてお客様に出すときに、「到来物ですが、お口に合いますでしょうか」という風に使います。これも広島や関西では聞いたことがなかったようです。
といったような話をしながら、今日の暑さを吹き飛ばすために、「到来物」のビールで乾杯です。
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