アメリカ社会は変ったのか(5)
[オバマ効果] > [トランプ効果] ?
かなり長いシリーズになりましたが、続けて読んで頂ければ幸いです。
前にも「オバマ効果」と銘打った記事を何度か書きましたが、改めて「オバマ効果」をまとめると、次のようなことになると思います。
(1)自ら持つ「絶対性」を使って
(2) アメリカ社会の持つ信念の「絶対性」、つまり「原爆投下は正しかった」という命題の権威を否定し、
(3) 一人一人の人間の持つ内なる声、”the better angles of our nature”を引き出した。
(4) 結果として、プラハ演説で自ら掲げた目標を、プラハ演説によって実現した。
対して「トランプ効果」とはその逆で、
(1) 多くの人たちの持つ「本音」、それも心の中では否定したい気持ちもある「本音」を、大統領の持つ「絶対性」で「絶対化」し、
(2) 「本音」で発言し行動しても良い、というメッセージを「絶対化」して発信し、
(3) 「怒り」「憎しみ」「暴力」といったマイナス面を引き出した。
とまとめられるのではないかと思います。となると、残された疑問は
(4) 「The Better Angels of Our Nature」はどこへ行ったのか?
になります。
「The Better Angels of Our Nature」は健在です。ハーバード大学のスティーブン・ピンカー教授の著書「The Better Angels of Our Nature」は、何回か取り上げていますが4月26日の記事が最初です。
その後、7月31日にも再度取り上げました。そこにも引用したのが、1946年以来の世界が平和になっていることを世界情勢に照らして説明しているリストです。重複を厭わずに再度掲載しましょう。
「平和」を示す戦争関連の歴史的事実 (1946年以降)
l 核兵器は使われていない
l 冷戦で対立した二つの国が戦争はしなかった
l 「大国」間の戦争もなかった(中国が大国になったのは、朝鮮戦争後と解釈)
l 1953年から数えて、紀元前2世紀のローマ以来、最も長い期間、大国間での戦争がなかった時期
l 西ヨーロッパの国同士での戦争もなかった
l 1人当たりの所得が最も高い44か国の間での戦争はこの間、1956年のハンガリーへの侵略を除いてゼロだった
l 先進国が、他国を侵略して領土を拡張することもなかった
l 多くの国が独立した
l 国際的に認められていた国が侵略により独立を失うこともなかった
アメリカ国内に限って犯罪率を見ても、1994年以来、ハッキリ減少傾向を示しています。
60年代から上昇した背景は別に分析が必要ですが、最近の傾向は「非暴力的になっている」です。しかし、世論調査の結果を見ると、多くの人が「犯罪は増えている」と信じているという結果になっています。
仮に「本音」として表現されているのは、誤った認識によって多くの人が持つに至った不安だと考えられるなら、犯罪率が減っているという「事実」が広まることによって、「本音」も現実を反映したものになるのではないでしょうか。つまり長期的には「オバマ効果」が「トランプ効果」に勝つという傾向です。その結果、社会がより非暴力的になり、世界が平和になるというシナリオもあり得る、いやそうなるだろうと予測するのは楽観的過ぎるでしょうか。
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