違和感のある日本語 9月篇
テレビのトップ・ニュースは小池百合子都知事と蓮舫民進党代表、海外ではヒラリー・クリントン大統領候補のようですが、対する男性陣、安倍総理大臣やトランプ候補の言葉を逆手に取って投げ返す技は鮮やかです。演説やコメントの内容が大切なのは言うまでもありませんが、そこまでは踏み込みません。私にも言いたいことは山ほどありますので、それは別の機会に譲って、日本語と発音だけの感想に焦点を合わせます。小池知事も蓮舫代表もテレビでプロとして活躍してきた経験がものを言っているのだと思いますが、分り易く、発音も聞き易いのが特徴です。比較の対象は言うまでもありません。
さて、美しく分り易い日本語を継承するために、「違和感のある日本語」シリーズの9月篇として、いくつかの言葉を取り上げましょう。
まず、上に挙げた漢字をどう読みますか。「逆手」。
NHKの放送文化研究所によると、「「相手の出方を逆手に取る」などのように、ひゆ的な使い方をする場合は「ギャクテ」と読むのが従来の一般的な読み方」だそうです。ただし、このような場合でも、「サカテ」と読む人が増えていて、NHKの調査では7割を超えているそうです。「間違っている」使い方でも、多くの人が使うことでそれが標準的な使い方になるという傾向もありますので、NHKの結論は次のようなものだそうです。
「逆手」の読みについて、放送では次のようにしています。
o 「相手の出方を逆手に取る」
①ギャクテ ②サカテ
o このほかの「逆手」は、次のように使い分ける。
(1)柔道などの場合「逆手を取る」・・・ギャクテ
(2)短刀・刀を「逆手に握る・持つ」・・・サカテ
(3)体操の鉄棒の「逆手車輪」・・・サカテ
ただし、私自身の感覚では、「相手の出方を逆手に取る」ときに「サカテ」と読むことには大きな違和感があります。「サカテ」は自分の手の使い方で、「逆手」は相手の手をどうするのかという使い分けがあると思っていたからです。
それと関連のあることはあるのですが、鉄棒の「逆上がり」は「サカアガリ」です。そのとき鉄棒をどう握るのかによって「順手(ジュンテ)」と「逆手(サカテ)」があります。力のない人の場合「逆手」の方が上手く「逆上がり」ができるのですが、そもそも「逆上がり」の語源は何でしょうか。たぶん「逆さ上がり」だと思いますが、「逆さ」になるのは自分自身です。この場合「逆(ギャク)上がり」とは言いません。これも傍証にはならないでしょうか。
「サカテ」が出るともう一つ、「酒手」を持ち出さない訳には行きません。簡単に言ってしまえばチップですが、もう少し粋な雰囲気があります。現代の日本でチップは必要ありませんが、昔はそれでも「酒手」という習慣があったのです。「お勘定」「お会計」だけで済むのはありがたい話ではありますが、では、「お勘定」や「お会計」を英語ではどう言うのでしょうか。
標準的な表現は、「Check,
please.」または「May we
have the bill?」あるいは「Can I
have a check?」くらいでしょうか。「please」を付けた方が丁寧です。でもすっかり死語になってしまった、「May I
have a chit, please?」を懐かしく思い出しています。「chit」は、我々日本人には発音がちょっと難しいのですが、「伝票」「勘定書き」のような意味で、昔はこちらの方が標準的でした。言葉は変わる好例の一つです。
今日はこのくらいにしますが、まだまだネタは尽きません。
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